大きなカブって最初から周りの土除去すればよかったんじゃね?
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■間が空きつつ
 短編小説その2を掲載、ついでって事でその1も修正して掲載
 結構間が空いてるから突然続きからじゃ分からないだろうしな
 ちゃんと各話ごとに分別してあるから何処からが続きか分かる
 書いてて思ったことは、最高でもその4で完結するなって事と
 テンプレの仕様上すぐに文が改行されるのが嫌だなって事だな
 感想指摘その他モロモロはコメントでどうぞ、直接でも良いよ
 
 
 
■シルエットブレイド ~真夏の夜は喧嘩シーズン~ その1

あれほど昼間に殺人的な光を放ったというのに、熱の残滓は夜になっても消える事は無い。窓の外には面倒くさそうに月が浮かんでいて、名前も知らないような虫達が、喧しい大合奏を繰り返している。

365日休まず働き続ける太陽や、夏の間毎晩鳴き続ける虫達は凄いな。漠然とそんな事を考えながら、犬属の青年――カルマ=アルヴァデッドは、自室のベッドの上で冒険小説に視線を落としていた。

あの虫達は、夜になっても下がらない気温に腹を立てて鳴いているのか、それとも求愛が巧くいかなくて泣いているのか。虫には虫の都合があるのだろうが、どっちにしろ迷惑だな、とカルマはページを捲る。

先日、お前はもっと言語能力を高めた方が良いと言われ、隣の部屋にいる居候から冒険小説を渡された。強力な魔物に立ち向かう主人公に対して、特に心躍らされるような事は無かったが、暇潰しには丁度良いと思った。読まずに返せば、クイズだの何だのやらされ、結局点数の低さで全て露見してしまう事も安易に想像できる。

何となく瞼が重くなってきたので、枕の横に置かれたしおりを手に取る。月明かりでも十分に目立つそのしおりには、ショッキングピンクの文字で「しびれろ夏の冒険小説」と記されている。出版社の夏のスローガンらしいが、カルマの脳味噌は、色彩溢れるしおりを数秒眺めただけで、はやくもしびれを起こし始めていた。

「おーいカルマー、まだ起きてるかー?」

聞き覚えのある声が、扉越しに響いた。同時に扉をノックする音が、照明が消えた真っ暗な室内を満たす、つまらなそうに漂っている黒い空気を無機質に叩いた。

何か返答しようと少し息を吸い込んだところで、カルマは声を飲み込んだ。返答してしまったら、寝ている事にならない。そんな当たり前の事を理解できないほど、自分の脳は眠気を訴えているようだ。扉には鍵もかけているし、今日は無視して寝てしまおう。薄目の生地の掛け布団に潜り込みながら、そうカルマは思った。

シャッターの降り始めた聴覚が「んだよー、寝てんのかよー」という不満の声を拾う。何となく心の中で罪悪感のような感情が揺らめいた気がしたが、気のせいということにした。「こんな時間に来るな」と呟きながら、本格的に睡魔を貪ることにする。扉の向こうで、カチャカチャと不審な金属音が鳴っていることに、カルマは気が付かなかった。

「なーんだ、ほんとに寝てんのか。チクショウ、開けて損した」

突然通りの良くなった声に、ようやく全身に満ちてきた快眠が一瞬にして消し飛んだ。寝起き直後の霞んだ脳が冷静に事態を把握できず、無意識に上半身を起こしてしまった。ぼんやりとする視界の中に見慣れた顔が割り込んできて、やはり見慣れた笑顔を作った。失敗した、とカルマは深くため息をついた。

「やっぱり狸寝入りかよ。無視するなんて、酷いなお前」

暗闇の中でも十二分に目立つ金色の髪と体毛。強欲さに満ち満ちた、マイナス二十等星に近い輝きを宿した金色と銀色の瞳。狼属の青年――ゼノン=レインフォルクは、まだ眠りの余韻が取れていない同居人に対して、笑いながら言った。



■シルエットブレイド ~真夏の夜は喧嘩シーズン~ その2

「だからさ、カルマ。広告とか街中にはっつければ宣伝効果抜群だと思うんだよ、俺は」

カルマのベッドの上に仰向けに寝転りスイカバーを口に咥えながら、ゼノンが言った。左手にも同じスイカバーが握られているが、持っているだけで、一度も口をつけていない。先端からは、真っ赤な液体が淡々と木製の床に滴り落ちている。

「そうすれば仕事だって増えるし、全部こなせば金だってガッポリ儲けられるし、俺の給料だって増えるだろ?一石二鳥ならぬ、一石三鳥ってわけよ。俺の言ってる事、わかるか?」

「なんとなく」

机に肘をついて窓の外を眺めながら、カルマは適当に相槌をうった。ゼノンがピッキングで部屋に乱入して来てから、かれこれ二時間が経過していた。その間ゼノンは、カルマを強引にベッドから引き摺り下ろした後、勝手にベッドの上に踏ん反り返って、べらべらと語り続けている。

途中、ジャンケンで負けた方がアイスを奢るという勝負を持ち掛けられ、見事カルマは勝利した。が、「本当は勝った方が奢るんだ」というゼノンの意味不明な主張により、結局カルマが自宅近くのコンビニに行かされる事となった。以前同じような事で若干の抵抗を試みた際、地面から氷柱を出現させる追尾系の魔術で、一時間ほど追い回されたことがあった。

当然だが、ゼノンは相手の意思など完全に無視する。他人の部屋には平気で入ってくるくせに、自分の部屋に入られるのを嫌がる。まさに欲望の塊のような男なのだが、目まぐるしい激動の日々の中でそれを思い知ったカルマには、それももうどうでも良いような事だった。

不服そうにアイスの棒を上下に動かしながら掛け布団をクシャクシャに丸め、ゼノンは不必要なほど両眉をつり上げた。どうせ、態度が素っ気無いとでも言うつもりなのだろう。カルマとしては、そろそろ池くらいの広さになりそうなアイスの汁をどうにかして欲しかった。

「お前、人の話ちゃんと聞いてんのかよ。せっかく俺が、便利屋のために色々考えてるっつーのに」

「別に考えなくてもいい」

「あー、何だよその態度。そんなんだから、いつまでたっても家賃が払えねえんだよ」

アイスの棒を部屋の隅に置かれたゴミ箱に向かって投げ捨て、ゼノンは既に原型を留めていないもう一つのスイカバーを口に突っ込んだ。ゴミは的を外れて床に落下したが、特にこれといった文句も浮かばなかったので、眼鏡の位置を正しながらカルマはゴミを拾った。

そもそも家賃を滞納している理由だって、その十割がゼノンの失敗によるものだ。数ヶ月前、何処かの富豪に飼い猫を探して欲しいという依頼があった。発見して追い詰めたところでゼノンが噛み付かれ、逆上したゼノンは猫と大喧嘩を起こした。結果、全治三週間ほどの怪我を負わせて、めでたく報酬はマイナスとなった。

怪我の手当てをしていた時、ゼノンは「正義は必ず勝つ」などと訳の分からないことを口走っていた。腕を噛まれた程度で逆上する男のどの辺りが正義で、自己防衛のために攻撃しただけの猫のどの辺りが悪なのか、カルマにはちっとも理解出来なかった。

「ふああ・・・・・・なんか眠くなってきたな・・・・・・」

枕に顔を突っ伏して、ゼノンが大きく欠伸をしながら言う。頬杖をついていたカルマも、つられて小さく欠伸をした。欠伸は伝染すると聞いたことがあるが、ゼノンから感染したと考えると、あまり良い気分にはなれなかった。

「とにかく、明日からビラ作りと街中回って貼り付け作業やるからな。ビラのデザインとかは、明日俺が起きてくる前までに考えておけよ」

言うだけ言うと、ゼノンは身軽なターンを決めてTシャツの裾と黄金色の尻尾を翻し、部屋から飛び出していった。眠いと明示していた割には、扉を閉める勢いが普段より凄みがあったのは、恐らくこの熱帯夜の所為で、気分が半ば自棄糞だったからだろう。

ゼノンがいなくなり、室内は再び虫の音の大音響に包み込まれる。ふと壁に掛けた時計に目をやると、時刻は既に夜中の一時を回っていた。深緑色の髪の毛を指に巻きつけながら、カルマは浅くため息を吐いて一言呟いた。

結局、アイツは何をしに来たんだ、と。
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この記事へのコメント
2006.05/11(木) [雪都]
2006.05/12(金) [バナナorHG]
2006.05/12(金) [らら]
2006.05/12(金) [狩霧沢]
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